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篭原左官店のよもやま話~第5回~

皆さんこんにちは!

 

有限会社篭原左官店、更新担当の富山です。

 

 

職人を支える道具と材料たち 〜伝統と技術が息づく左官の世界〜


今回は、左官工事に欠かせない**「道具」と「材料」**について、詳しく解説していきます。

一見すると「壁を塗るだけの仕事」に見られがちな左官工事ですが、
実際は、職人の繊細な技術と、それを支える専門道具の数々が揃ってこそ成り立つ世界なんです。


1. 左官工事を支える“主要道具”たち

 

(1) コテ(鏝)~職人の命ともいえる道具~

 

左官といえばコテ。
塗る・均す・模様をつけるなど、作業のすべてを担う、**まさに“職人の右腕”**です。

🛠 コテの種類と特徴

  • ステンレスコテ
     なめらかな仕上げに向いており、最終工程で使用することが多いです。
     サビに強く、扱いやすいため、現場では最もよく使われるタイプです。

  • 木コテ
     吸水性があるため、水分の多い下地に使うのに適しており、
     土壁や漆喰などの伝統素材に相性抜群です。

  • ゴムコテ
     柔らかくて弾力があり、デリケートな模様づけや目地詰めに適しています。
     特に最近人気のデザイン仕上げやアート左官には欠かせない存在です。

🔍 豆知識
コテの厚さ、曲がり具合、長さは職人ごとにこだわりがあり、自分専用のカスタム品を使う人も多いんです。


(2) モルタルミキサー ~材料づくりの要~

 

セメントや砂、水などを混ぜて均一な左官材を作るのがモルタルミキサー
手練りでは難しい大量の材料も、短時間でムラなく練ることができ、仕上がり品質の安定に貢献します。

小型・大型・縦型・横型など、作業内容や現場の規模に合わせた選択が重要です。


(3) スポンジ・刷毛・櫛引き道具などの仕上げ用アイテム

 

壁を塗り終わった後に使われるのが、細部の質感や模様を演出する道具たちです。

  • スポンジ:濡れた面を軽くたたいたり拭いたりして、自然な風合いを演出

  • 刷毛(はけ):表面の整えや刷毛目模様を付けるのに使われます

  • 櫛(くし)引き道具:細かいラインや意匠模様をつけるときに使用

これらの道具は“職人の個性”が光る部分。
使い方ひとつで、まったく違った表情の壁に仕上がるのが左官の面白さです。


2. 左官工事に使われる“材料”とその特性

 

左官材は、それぞれの建物の用途・仕上がり・環境に応じて使い分けられます。


(1) 漆喰(しっくい)~天然素材の王様~

 

漆喰は、石灰を主成分とする自然素材の高級左官材です。
調湿性・抗菌性・防カビ性に優れ、和風建築や蔵、現代のエコ住宅にも多用されています。

白く美しい仕上がりと、時間とともに風合いが増すのが魅力。
また、漆喰を使ったアート左官も人気です。


(2) モルタル~万能型の定番素材~

 

セメント・砂・水を混ぜて作るモルタルは、強度と耐久性に優れた汎用材
下地調整から最終仕上げまで幅広く使われ、外壁・基礎・床・ブロック積みなどにも活用されています。

乾燥が早く扱いやすいため、近代建築には欠かせない材料のひとつです。


(3) 珪藻土(けいそうど)~呼吸する壁材~

 

調湿・消臭効果が高く、室内の空気を快適に保つことができる珪藻土。
主に室内の壁に使用され、自然派志向の住宅に人気の素材です。

色やテクスチャーのバリエーションも豊富で、デザイン性と機能性を兼ね備えています。


(4) 土壁~日本の伝統が息づく素材~

 

昔ながらの日本家屋や町屋、古民家などで使われる土壁
藁すさや砂などを混ぜ、土の持つ「柔らかさ」「暖かみ」「呼吸性」が魅力です。

施工には高度な技術と時間が必要ですが、独特の温もりと風情を感じさせてくれる素材です。


🌟 まとめ:道具と材料を知ると、左官がもっと面白くなる!

 

左官工事は「塗る」というシンプルな作業のようでいて、
実はその裏に**“素材の特性を読み、道具を操る”奥深い世界**があります。

  • 道具=職人の延長。繊細な手仕事を助ける相棒

  • 材料=建物の“呼吸”。空気とともに暮らしを整える

だからこそ、仕上がった壁には職人の技術と心が映し出されるのです。


🏡 次回予告

 

**「左官工事の魅力と多様なデザイン」**をテーマに、
仕上げ方法の種類や、現代建築で注目されている“デザイン左官”についてご紹介します!

土と道具が創り出す、芸術的な空間――どうぞお楽しみに!

 

 

 

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